事務局員の独り言 銃の所持に向けて(10)
お残しは許しまへんで(2017/2/1)
(譲受許可証の譲受許可数量について)
さて、前回までに銃を入手するところまでいきました。
射撃場に行く前に、実包を購入しなければなりませんね。
教習射撃を受講した際に警察署から交付を受けた
「猟銃用火薬類等譲受許可証」は教習のみにしか使用できませんし、
教習後は速やかに返納することが必要です。
ですから、あなたの手元には有効な譲受許可証は残っていません。
狩猟をする人は、猟期前に狩猟者登録証が交付された後に、
猟友会か警察署が発行する「猟銃用火薬類無許可譲受票」を
申請して３００個までの実包の譲受が可能となり、
狩猟練習の目的で射撃をすることが可能です。
因みに、狩猟用の装弾を購入するためには、装薬銃での狩猟を
行うための第一種銃猟免許を警察署に提示して、
登録する散弾銃の用途に「狩猟」を追加しておく必要があります。
また、登録する散弾銃の用途の欄が標的射撃のままで
購入した装弾は狩猟には使用できません。
使用した場合には、目的外使用と見なされ、
許可証が失効する恐れがあります。
さて、この無許可譲受票の有効期間は狩猟期間末までですし、
終猟が近づくと大量の譲受を行わせないように
銃砲店に指導が入っているようです。
また、秋から冬は、クレー射撃もオフシーズンです。
ですから、本格シーズン前に、許可譲受申請をしておきましょう。
札幌クレー射撃協会では、４月から１０月まで、毎月１回射撃会を行っています。
一回につき、トラップ競技ならば４ラウンド競技します。
１ラウンドで２５枚のクレーを放出します。
１枚に付き２発の散弾を撃つことができます。
つまり、１年間で１４００発の散弾を撃つことができます。
では、１４００個の申請を出してみましょうか。
スキート競技であれば、１枚に付き１発ですから、７００発となります。
さて、平成27年6月4日警察庁丁保発第123号において、
警察庁生活安全局保安課長から、警視庁生活安全部長
および各道府県警察本部長宛に
「猟銃用火薬類等の取扱いについて」の通達が出されています。
この中で、標的射撃用の最初の譲受は８００個までとされています。
これは火薬庫外貯蔵の限度までの数量となります。
また、自宅の装弾ロッカーも実質的に８００個までしか入りません。
８００個まで入れると湿気防止の水とりぞうさんが
入らなくなってしまいます(本当にミチミチなんです)。
という訳で、８００個の「猟銃用火薬類等譲受許可申請書」と
消費計画書を作成し、申請しましょう。譲受目的は標的射撃です。
さて、これで８００個の散弾実包は購入できますが、
４月から７月までの４回で使い切ってしまいます。
８００発に対する「許可数量の残量」を０にした後で
(ここが大切です。)、２回目の申請をしましょう。
「また、８００個？」いえいえ、２回目からは、実績があると見なされて、
今度は２０００個までの申請が可能です。
８００発に対する「許可数量の残量」を１年以内に０にしないと、
８００個を超える申請はできません。「お残しは許しまへんで」
これで、札クレの１年分の射撃会の実包が購入できます。
「２年分はありそう。」なんて考えないでくださいね。
譲受許可証の有効期間は１年間です。でも、個人練習もしたいですか？
それならば、標的射撃での１日の消費限度は４００個までですから、
５回の射撃会と個人練習で２０００発は十分に消費できますね。
さて、２０００発に対する「許可数量の残量」を０にした後で
(ここが大切です。)、３回目の申請をしましょう。
「また、２０００個？」いえいえ、今度は５０００個までの申請が可能です。
消費計画書の作成が大変ですね。
という訳で、譲受の許可数は実績がある人には
実績に応じて交付してもらえます。
実績がなければ、「社会生活上必要」がないとして
過大な数量の交付は受けられません。
さあ、これで毎月１回から２回の射撃会と個人練習で、
１年間で５０００発を消費しましょうか。
消費できましたか。さて、５０００発に対する「許可数量の残量」を
０にした後で(ここが大切です。)、４回目の申請をしましょう。
「今度は１００００個？」いえ、残念ながら、５０００個を超える譲受申請には、
国際規模の射撃競技のための合宿練習のために競技団体からの
推薦書の提出等がなければ申請できません。
射撃場での実際の消費では、トラップ競技のように一枚の標的に
二発の発射も可能ですが、無駄弾は撃たないといって
一発ずつ撃つかたもいらっしゃいます。
でも、セレクタ付きの二連銃を所持しているかたは気をつけてください。
誤って、セレクタを二の矢側に動かしておいて、
初矢の薬室に一発だけ装填したら・・・。
「ハーイッ」「カチッ」「あれ？」
はい、前を向いたまま、十秒数えてくださいね。
さて、次回は「声はすれども姿は見えず」
(猟銃用火薬類の種類について)
をお送りします。
(この話はフィクションです。実物の人物にどんなに似ていても、それはあなたの気のせいです。)